発熱・嘔吐・下痢・食欲不振の症状を、糖尿病のシックデイという

発熱・嘔吐・下痢・食欲不振の症状を、糖尿病のシックデイという

シックデイ(Sick Day)とは、糖尿病患者が、糖尿病以外の病気に罹患した状態を指す。なぜ、シックデイと特別に呼称するかは、糖尿病患者にとっては、他の病気への罹患は特別な意味を持つからなのだ。シックデイには、その原因が発熱、風邪などの感染症や下痢、腹痛などの些細な病気でも、血糖値コントロールが乱れて、糖尿病が悪化しやすいので、対応の仕方を知っておく事が大切だ。血糖値コントロールが乱れると、風邪、発熱、下痢などの病気も治りにくくなり、その事がさらに血糖値コントロールを悪化させるという悪循環に陥る。原因となった病気への対応が遅れたり、誤った自己治療をすると、場合によっては危険な状態になる事もある。

重要なのは、罹患した病気を早く治癒させる事だ。シックデイには、血糖値のコントロールが難しくなる事もあるので、主治医の指示に従って、罹患している疾病を早く完治させる事だ。シックデイ中でも、インスリン注射療法を行っている患者は、インスリン注射を中止してはいけない。食事も工夫して、通常と変わりないカロリーを摂取するように心がける事だ。

シックデイは、糖尿病合併症を発症させる事がある。また、シックデイは、糖尿病合併症の症状を、急激に悪化させたりする要因となる事がある。高血糖は、ケトン体の蓄積により体液のpHが酸性に傾いた状態であるケトアシドーシスや糖尿病昏睡をもたらす他に、心筋梗塞、脳卒中の引き金になったりする事がある。一方、血糖値の低下は低血糖昏睡を起こすだけでなく、高血糖同様、糖尿病合併症の出現、悪化の引き金になったり、心筋梗塞の原因になったりするのだ。このような合併症発症と悪化を予防するためにシックデイの対応法を、患者に適切に指導する事が求められる。

シックデイ対応の原則は以下の6点である。①シックデイには必ず主治医に連絡し、指示を受ける事②インスリン治療中の患者では、決してインスリン治療を中止しない事③十分な水分摂取により、脱水を防ぐようにする事④可能な限り、口当たりの良い、消化の良い食物を選んでとるように(絶食しないように)する事⑤血糖自己測定により血糖値を3~4時間ごとに測定し、血糖値が200mg/dℓを超えてさらに上昇傾向が見られた時は、そのつど速効型インスリンを追加するよう指示する事。速効型インスリンとは、注射後約30分で血糖値降下作用が現れ始め、約2時間で効果が最大となり、約5~6時間後には効果が消滅するインスリン製剤⑥糖尿病患者で尿中にケトン体が排出されていると、要注意な為、尿中ケトン体の測定を行う事。ケトン体とは、糖代謝異常により、糖分の代わりに脂肪酸がエネルギー源として代用された時に生成される物質。嘔吐、下痢が止まらずに食物摂取が不能の場合や、発熱が2日以上続き、尿ケトン体が強陽性、血糖値が350mg/dℓより低下しない時は、早急に入院治療させる必要がある。

シックデイへの対応は、糖尿病の病型と病態、シックデイの原因によって大きく異なってくる。患者の病期、病態(食事療法単独、経口血糖降下薬使用、インスリンを血糖値コントロールのために必要とする、インスリン依存)によって異なる対応が必要となる。患者には、それぞれの病態に応じた治療を行う必要がある。